アトピ-性皮膚炎の治療方針は、シャンプ-などのスキン・ケアと炎症を抑えるステロイド剤が中心になります。
極端なステロイド剤の使用拒否は反対に症状を悪化させることになります。獣医師による副作用が出にくい使用方法があります。
かゆみの出現が年間を通じ、季節性だけであるならばその時期だけ薬による治療で症状を抑えればいいわけです。
つまり、これらのステロイド療法(もしくはJーキナーゼ阻害剤・サイトカイン療法)は対症療法であって根治療法ではありません。
症例によっては、ステロイドがなければ日常生活ができないくらい重度なアトピ-性皮膚炎があり、年中かゆみで苦しむ犬や猫がいます。
アメリカ人の医師ミラ-は自分の喘息の原因を皮膚に何回も注射してアレルギ-をコントロ-ルしました。これをアトピ-性皮膚炎に応用したのが、減感作療法なのです。この治療法が何故効き目があるのかは、まだはっきりとわかっていません。どうも注射を繰り返しすることによって、体内で制御性T細胞というアレルギーを抑制するT細胞が増える様です。以前、導入期間は最低2週間の入院が必要でしたが、技術改善により舌下減感作療法は数日ですむようになりました。減感作療法中、注射による震え、アナフィラキシ- 顔面腫張などのまれに副反応が起きることがあります。しかし、新規舌下減感作療法ではこのような副反応は殆ど見られません。効果の発現に早い例で1-2か月、遅い例で1年かかる場合もあり、1年を過ぎて効果がない場合は治療を中止します。手間のかかる治療方法ですが、現状におけるアトピ-性皮膚炎の唯一の根治療法なのです。当病院では舌下減感作療法もしくは従来法の皮下導入が中心になります。減感作療法は経験を必要とする治療です。当医院の症例経験数は100例以上です。選択使用抗原の検索は、IgE検査と皮内試験の2つの異なる検査から総合的に決めるのがベストです。
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