犬の皮膚病変(アトピー性皮膚炎・その他の皮膚疾患)に対するLED(発光ダイオード)照射による単盲検臨床トライアル
Single-blind clinical trial of LED (light-emitting diode) irradiation for canine skin lesions (atopic dermatitis and other skin diseases)
もともとNASAの国際宇宙ステーションにおける植物成長実験のために開発された発光ダイオード(LED)は、人間の傷の治癒と皮膚組織の再生の可能性を示した。赤外線は、細胞のミトコンドリア機能を高め、多くのATP(アデノシン三リン酸)を誘導する。これらのエネルギーが細胞を効率的に機能させ損傷を修復させる。最近の報告では、発光ダイオード赤色光(LED-RL)は、手術後の瘢痕形成を最小限に抑えるための有望な戦略となり、発光ダイオード低レベル光療法(LED-LLLT,830nm)は、ラットモデルにおける病理組織学的所見で炎症細胞の有意な減少を明らかにした。NASAとのLEDの共同開発にたずさった日本の大手企業で働いていたエンジニアが、犬で活用できないかと当動物病院に打診された。犬アトピ―性皮膚炎に使用したところ図に示すように明らかに有意差を示し、LED照射の効果を立証できた。さらに、照射PREとPOSTとにおいて、病理組織学的検索においても炎症性細胞の数の減少が確認された。今後の期待される効果は寝たっきり動物のケアとして大きな課題となりうる床ずれ・褥瘡の改善予防に効果が期待できるものと考えている。
図表の説明:明らかに照射前後の有意差がある。
- Imege 1~3